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2009/12/24

第20回:店頭で競合他社より優位に立つためのフィールド活動(ラウンダー活動)体系の見直し方(2)

前回は店頭調査による検証と題し、まず組織小売流通店頭において、自社商品がどのように展開されているのか把握することの必要性を説明しました。今回は、店頭で競合他社より優位に立つために必要なもう一つの要素として、組織小売流通別の特性を把握する上での基本的考え方を説明いたします。

フィールド活動(ラウンダー活動)は、自社商品を扱っている組織小売流店頭をフォローすることが目的ですが、対象全店に万遍無く人を配置することは、コストの面から考えると多くの費用がかかります。 例えば首都圏にあるスーパーマーケット3500店舗の全店に人を配置するには、1名当たり70店舗担当するとして、50名が必要になります。1名当たりの年間コストが仮に500万円とすると、総コストは25,000万円かかります。

限られた人的リソースで最大の効果を発揮するためには、対象とすべき組織小売流通企業や店舗を厳選すること、「選択と集中」が必要になります。

「実際にどの組織小売流通をフォローするべきなのか?」

企業別の特性を把握するにはどのような情報をどう活用すればいいのか、順を追って説明していきます。

業態
GMS、スーパーマーケット、百貨店、専門店、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ホームセンター、ディスカウントストア、家電量販店etc 様々な組織小売流通の業態がありますが、自社商品の業態別売上構成比率の推移を見ながら、主力構成業態の中から、「守るべき業態」「攻めるべき業態」を設定しましょう。 費用対効果の面から、どちらもフィールド活動(ラウンダー活動)が有効な業態と考えられます。

本部主導型or店舗裁量型
本部統率力の強い企業なのか店舗裁量が強い企業なのか、日頃の営業活動から区分してみてください。本部統率力の強い企業では、店舗で活動できる範囲が限定されてしまい、中には店舗訪問禁止の場合もあります。 一方で本部営業の段階で商談が成功すれば、高い確率で店頭展開が実現されます。 また、店舗裁量型の企業は、本部採用の企画がうまく伝達されずチャンスロスが発生する可能性がありますが、フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)によるフォロー活動で店頭展開率を高めることができます。

企業規模
企業の規模を表す指標としては、店舗数・総売上金額・自社商品売上金額etcが考えられます。本部営業の成果がより大きな成果に繋がるためには、企業規模の大小が影響します。フィールド活動(ラウンダー活動)を行う対象を選択する上で、優先度の高い情報となります。

主要展開エリア
企業規模だけではなく、全国規模なのかリージョナルなのかという情報も把握しておく必要があります。各エリアにおけるその企業の影響度が高いのか否かもフィールド活動(ラウンダー活動)対象企業にする上での判断基準になります。

採用企画数
その企業が、自社提案企画を積極的に採用してくれるパートナー的関係なのか、あまり企画が採用されない企業なのかによって、フィールド活動(ラウンダー活動)のボリュームが大きく異なってきます。

POSデータ
POSデータが入手可能な企業であれば、フィールド活動(ラウンダー活動)の成果を売上として正確に把握することができます。すると店頭展開状況と売上との相関分析により、フィールド活動(ラウンダー活動)の効果や店頭企画の効果などを検証することができるため、 積極的に対象店舗にすることをお勧めします。

それぞれの企業の特性をより把握するには、競合他社のフィールド活動(ラウンダー活動)状況など独自の情報を付加することで、精度を増すことが可能です。 なお、情報の組み合わせと優先順位により、対象企業は変動してしまいます。 費用対効果の高いフィールド活動(ラウンダー活動)を実現するには、情報の正確性と鮮度および分析手法を、十分に精査することが必要です。

木名瀬 博のフィールド虎の巻

序章

第1章 消費者接点として重要性を増す店頭のあり方とこれからのフィールド活動(ラウンダー活動)

第2章 本部商談結果と店頭をどのように連携・連動させるか

第3章 フィールド活動(ラウンダー活動)によって得られる情報の活用方法

第4章 フィールド活動(ラウンダー活動)をさらに強化するために見直すべきポイント

第5章 フィールド活動(ラウンダー活動)の分類と役割

第6章 店頭で競合他社より優位に立つためのフィールド活動(ラウンダー活動)体系の見直し方

第7章 営業担当者とフィールド業務をつなぐ2つのPDCAサイクル

第8章 事例で解説、フィールド活動(ラウンダー活動)のポイントと成果

第9章 フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)の契約形態

第10章 フィールドスタッフのスキルとモチベーション

終章 フィールド活動の今後の方向性